あめとてるてる坊主

3)心模様

 周りには見知らぬ人、ヒト、他人。

 往来する人々の波に私はおぼれていた。

 はぐれたんだと呆然と思った。

 焦る気持ちは芽生えず、このまま帰ってしまおうかと思った。

 心に雲がかかり、今にも雨が降りそうな気持ち。

 逃げてしまいたかった。

 私は人ごみを抜け、路肩に出る。

 里美ちゃんにメールをしようと携帯を取り出して、ゆらりとてるてる坊主が揺れた。
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