伝えきれない君の声

こうなることは、
きっと最初から決まってた。


『歴史』は決まっていると、
もう既に決まっていると、
倉田瑞季は言っていたことがあった。


でも、


「…って…」


「…え…？」


「運命を変えたいって…言ってたじゃないですか…」


震える、声。
必死で絞りだした。



「変えられないんですか？
私のこと…好きだって…
好きだって言ってくれたのは、
嘘なんですか…？」


胸が熱くなる。
同時に流れる涙。


「どうして？
どうして、私の目を…見てくれないんですか？」


ああ、もうダメだ。


涙でぐしゃぐしゃな私。
掌で顔を覆い、
もう、恥ずかしさなんて無かった。



体を引き寄せられ、
彼の胸へとおさまる。


心臓の音。
体温。




そして一言










「…………ごめん………」







あなたはいつも、
謝ることしか、しない。