伝えきれない君の声


「ほんとに男の人って…わかんない…」


食器の整理をしながら、
溜め息と共に吐き出した。


店長は私のことをチラッと見たあと、
顔をくしゃっと歪める。



「そんなの男にとっちゃ、女なんてもっとわかんねーよ。
女はほんと機嫌損ねると厄介で厄介で…」


だんだんと話がそれそうな予感がして店長をじっと睨み付けると、

ぱちぱちと瞬きをして、
バツが悪そうに咳払いをした。



「店長、この前嘘つきましたよね?」


「嘘?…何の?」


「私が熱出た日。お見舞い行くとか言って、倉田さん無理矢理寄越したじゃないですか。」


「あー…あれはたまたまで…


「もうっ!あのときはスッピンだし部屋着だし、髪ボサボサだし…最悪だったんですからね!」


ふんっと顔を背ける。


「悪ぃ悪ぃ。けどー…良いこともあった、だろ?」




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