きょうくんとみっちゃん


二人がそんな風にお互いを呼んでいるのには理由があった。



それはきょうくんとみっちゃんが同じ幼稚園に入園して、同じクラスになったとき、きょうくんとみっちゃんが最初にした会話がきっかけだった。

たまたまきょうくんの隣に座ったみっちゃんは、きょうくんに話しかけた。


み「ねぇねぇ」
きょ「なに?」
み「おらまえらんてうーのぉ?」
きょ「…名前をきいているのか?」
み「うん!」
きょ「きよかだよ」
み「きお…かぁ…きょ……きょうっ、きょうくん!」
きょ「…くん?…まぁいっか…で、きみの名前は?」
み「みなみこっけぇ!」
きょ「………みっちゃんでいい…?」
み「いーおぉ」



言葉をまだ上手く話せなかったみっちゃんは「きよか」と言えず、しかも髪の短かったきょうくんを男の子と勘違いしてそう呼び、そして、「くん」付けで呼ばれても、訂正するのが面倒だったきょうくんはそれを流し、みっちゃんの言った「こっけぇ」という名前はさすがにないだろうと悟って、確実そうな「みなみ」の「み」をとって「みっちゃん」と呼ぶことにしたのだった。



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