カナリアンソウル

信用

ひろみと初めて話したときは、ちょうどテスト期間の真っ最中だった。

「テスト勉強一緒にして良い?」

私は目を見開いた。

「良いけど…どーして?」

知らない誰かに話し掛けられたり、絶対しないタイプだったから。

「瞑と一緒に帰りたいからに決まってんじゃん」

向かい合わせに座った彼女が、にっこりと笑う。

「てか、もう髪染めてる。ヤンキーなの?」

最初の質問にしては随分と…

「喧嘩とかする度胸無いし、違うよ。先生に反抗する度胸も無い。恐いから」

「説得力無い!ただの不良じゃん!」

自分が嫌いだから、自分を強く見せたかった。

「ダメかな?アッシュ好きなんだけど」

「頭悪そうだけど、可愛いよ。うちは好き」

「それ私じゃない人に言ったら、あんた死んだよ」

可愛い顔して、眉間にシワ寄せて私を睨んでもダメ。

「うち、テスト明けたら放課後にでも吹奏楽部行ってみようと思うんだけど、一緒にどう?」

ひろみは今と変わらず、コロコロと表情を変える、見てて飽きない子だった。

「何部に入っても駄目そうだし遠慮します。ひろみちゃん頑張れ」

私は、自分が嫌いだった。

大嫌いだった――
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