カナリアンソウル
学校を出てすぐに、ひろみは私の腕を引いた。

「瞑に見せたい場所あるんだけど、行くでしょ?」

「う、うんっ!」

思ったより小さな手を感じながら、私は頷いた。

「…ここだよ!瞑!」

「公園?」

この街に、こんな綺麗な場所あったんだって感じで、なかなかのセンスと、どこか寂しそうな風景には正直少し驚いた。

小さい山の頂上に座って足元に生えた草をちぎりながら、ひろみは話し始めた。

「うち好きな人がいるんだけどね?一目惚れってやつなんだ。そーゆーのって信じる?」

「一目惚れかぁ。相手に言われると信じられないけど、あるのかな?って思う」

「じゃあ、信じてるってことで話すけど、その人に今日、アド聞いたの。昼休みに教室に行って」

ひろみは草をちぎっては投げ、その辺に放つ。

青臭い匂いが鼻を掠めて、夏を感じさせた。

「良いね、その大胆な感じ。で?教えてくれたの?」

「うん。くれたんだけどさ、なんて送ったら良いか分かんなくて…」

「最初だから、こんばんわとか、かな?」

ひろみは草をむしっていた手を止め、私の手首を掴んだ。

「細いね」

ひろみの腕もまた、もやしのようだった。
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