カナリアンソウル
―四月三十日。


「ねぇ。今更だけどさぁ〜、結衣って何部なん?」


『いちお〜吹奏楽部。幽霊部員だけど』


あれから果穂は毎日あたしの所に来た。


何をするにも楽しそうな彼女に、あたしはみるみるうちに惹かれていったんだ。


「あたしもバレー部の幽霊部員♪吹奏楽部ずっとやってたの?」


『まぁ。一応、中学のときから』


「ふぅ〜ん。ねぇ!今日の空ピンクだよ〜?ゲーセン行くべきじゃない?」


果穂が窓から身を乗り出して足をバタつかせた。


『いきなり何?空関係なくゲーセン行きたいんでしょ?』


私たち二人は、いつの間にか一緒に居るようになってた。


まだまだお互い知らないこといっぱいあるのに、何をするにも、何でも一緒。


「バレた?」


果穂は空気の読める子。


ただちょっと賑やかなだけで、とてもいい子。


この歳になって実感。


ってか、やっとわかった気がする…


こんな風に友達って出来ていくのかって。


今頃って感じ?


「果穂ね、中学のときバレー部の部長だったんだぁ〜」


『そか』


同じ。


同じ、挫折者。


「お前等まだ居たの?」
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