カナリアンソウル
陸斗はあたしの鞄頭から持ち上げて走り出した。


『ちょ、待って!鞄返して!』


「おまえん家着いたら返してやるよ!」


『病人に走らせるなー!』


ただ鞄を取り返す一心で追いかけてたら、陸斗が突然止まった。


「どーぞっ」


そしていきなりしゃかんだと思ったら、こっちに背中を向けた。


『…、なに?』


「どー見てもおんぶだろ」


は?やだ。


普通に恥ずかしい。


「黙ってないで乗れ。鞄返さねーぞ?」


あたし、陸斗から鞄奪える自信ないけど。


「はーやくっ!」


『重かったらごめん…』


嫌だったけど大人しく従って、しょうがないから家までの道案内した。


「以外と軽い」


『失礼な奴』


「俺、一応先輩だし」


急に止まった陸斗。


…怒ったのかな?なんて思ったとき前から知らない女。


「あっ!陸斗☆」


「よっ」


「ん?背中に…彼女?」


『違います』


「あ、ごめんね!勝手に彼女とか言って!」


『いえ。気にしないで下さい』


「可愛い子だねぇっ♪」


陸斗に狙ってんでしょ〜?って笑顔で言った彼女。


綺麗な人。
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