狼さんの好きな人
「なんで?」


「だって、誰もマネージャーになってくれねぇもん。」


「どうして?」


「ま、来ればわかるから。今日の放課後迎えに来るから、待ってろよ。」


「う、うん…」


お兄ちゃんは、私の教室まで送ると頭を優しく撫でてから自分の教室へ向かった。


「ひよ、おはよ。いっくんは、相変わらずひよにベッタリね。」


「あ、咲ちゃん。おはよ。」


この子は、相沢 咲(アイザワ サキ)。15歳。


幼稚園の頃からの幼なじみ。お兄ちゃんを、いっくんと呼べる唯一の女の子。


背が高く、ストレートの長い黒髪でとっても美人なのが特徴。


「それにしても、ひよ。残念。」


へ?


「私って、残念なの?人生そのもの否定ですか?」


「いや、人生を否定してるんじゃなくて…。ひよ、高校生になったら彼氏つくるんだぁって言ってたでしょ?」


「う、うん。言った…気がする…」


「いっくんの妹ってことで皆引いてる。」


はぃ…?


.
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