気まぐれ猫
自分
 「終わったー!」
 宏樹が終業のチャイムと同時に叫んだ。俺達もそれに合わせて叫んだ。
「昼飯食いに行こうぜ!」
「宏樹、部活は?」
「今日は休み」
 宏樹が財布の中のお金を数えながら答える。
 そっかと笑って、俺は司の方を振り向いた。
「……司は?」
 一瞬、本当に一瞬、空気が静かになった気がした。
「行く!」
 司が、以前の司のように答えた。
「よっしゃ!んじゃ行きますか」
 俺達はさっきまでのテストの話をしながら、教室を出た。
「……お人好し」
 祐輔が耳元でボソリと呟いた。
「……うるさい」
 俺も小さく呟いた。
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