誕生日には花束を抱えて【完】
学食で、オレは正平の向かいに座った。


ほぼ、2カ月ぶりに。


正平は一瞬箸を止めたが、すぐにまた食べ始めた。


「もうすぐ、クリスマスイヴだな」


オレが言うと、ふたたび箸が止まった。


「神崎に、……会いに行けよ」


正平はゆっくりと顔を上げた。


「そんで、もういい加減、神崎の夢、叶えてやれよ」




次の誕生日――それを逃したら、神崎の夢は、もう、叶わない。


頼むから、叶えてやってくれ――。




オレは心の中で、叫んだ。




「…………」

「そしたら、約束破ったこと、チャラにしてやる」

「……小泉」

「正平とこういう状態でいるの、なんか、もう、疲れたし」




それも、紛れもないオレの本心だった。

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