星に願いを彼に愛を




「私は柊を燃やします。“柊”が居なくなってしまったら柊森の意味をなしませんので。」



「“柊”様…。」



柊森に住む鬼たちが母様の名を言う。母様はこの森の神様であるのは僕も知っていた。



「長年守ってきた森を燃やしたくはなかったが…仕方ないわ。雅、藍を頼める?」


「わ、私で…良いんですか?」



雅(ミヤビ)は母様の友人の娘だ。僕と同い年で昔から僕たちは仲が良い。



「柊様、私たちが儀式を手伝います」


そう言ったのは雅の母様の雨季(ウキ)。


「雨季、それに皆…ありがとう。」



儀式というのが何かわからなかった


「母様、儀式というのは…」



言いかけたところで母様に抱きつかれた


「藍、死なないで、生き続けて。そして…いつか人間に復讐しようなど、思わないで」



「母様…」


「藍!」


「兄様…」


兄様もまた僕に抱きついた

「守ってやれなくてごめん。…死ぬな、生き続けろ。」


僕には言っている意味がわからなかった


「…そして僕は復讐しても良いと思う。」


兄様…?




何でそんな、お別れのようなことを言うの?

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