星に願いを彼に愛を



「藍、逃げるよ!」



雅は僕の冷めた手を取って走り出した。一体どこへ向かっているのだろう?



ふと真上を見上げると、そこには真っ暗な空にキラキラ輝く沢山の星たちがいた


「藍!」


そう叫んで雅は僕の手を離した



「人が沢山森の中にいるの。私には…。」


雅が言いたいことはわかった。



何でかって?それは僕は鬼だから、人とは違うから何故かモノの声がわかってしまうんだ


「大丈夫だよ雅。五年後、ここに来よう。」


「─────っ!!」


「元気でね、雅。…ρ(ロー)。」


「籃!!!」



星空に一つ星が流れる




僕らの周りには何も存在しない、木や湖さえも。


雅を誰にも知られない所へと飛ばして僕は星に願う。

彼女がどうか、五年経っても変わらずに死なずに生きていますように────と。



……そして。









「雅にまた会えますように。」










──────………と。


< 2 / 55 >

この作品をシェア

pagetop