地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ

だから今……目の前の光景が信じられない。



警視庁の地下にある『霊安室』。

薄暗い部屋の中、白いベッドの上に乗せられた銀色の袋――…

それは人の形をしていて―…。



「本人確認をお願いします」


刑事からそう言われ、ゆっくりと銀色の袋のファスナーを開けた。





「………!!!?」


中を見た瞬間、体中の筋肉が全て強張る。

目も見開き、瞬きさえ出来ない。




「………この子が本当に神崎杏樹なんですか?」

「DNA鑑定にて神崎杏樹さんと一致しました」



刑事の言葉を聞いた瞬間―…両手を強く握りしめて拳をつくった。





「死因は何ですか……?」


俺がもう一度問い掛けると、今度は答えるのを渋る。





その答えは俺にとって………1番残酷で泣きたくなるようなものだった。
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