地味子の秘密 其の参 VSワガママ姫サマ
杏に振袖を着せた時のことを思い出してみると、

やっぱり杏の美しさには到底敵わない。


大体……こんな洋館には和服が浮いて見える。


建物すべてがアンティーク調……だから振袖がギャグのように浮いて見えるんだ。




「ようこそいらっしゃいました。ではお話を進めさせていただきます」

「こちらも、今日という日を待ち望んでいましたよ。さすがは妃芽さん、すごくお綺麗ですよ」


ニッコリと俺の親父と楠社長が笑い合い、力強く握手を交わした。



まさか………いや絶対に違う。

親父なら、俺の気持ちが誰にあるのかわかっているはず。

こんなに馬鹿げたことはないだろ。







しかしながら。



俺は絶望のどん底へ突き落とされる。
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