小野先生とアタシ

そしてそれはきっと

「大切」な「彼女」なんだろう。

…先生の…。



アタシが思っていたことは間違ってなかったんだ。

きっと先生はまだ…。


そして
彼女はアタシが今座っているこの椅子に同じように腰掛けて
先生の演奏を聴いていたんだろう。

アタシは目を閉じて先生の演奏を聴きながら…
その2人の姿を想像しないように…。


彼女の存在なんて見たこともないくせに。



でも。

それでも。

胸の奥がすごく苦しくなった。



そのとき、

それまで「彼女」のことを羨ましいと思ってきたはずなのに

妬ましい…、

はじめてそう思った。






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