私に恋を教えてくれてありがとう【上】

4、夫人

今度はそらが

牧田夫人にコーヒーを渡し

さっき淳一郎がいた席に夫人を座らせていた。







彼女はひと口コーヒーをのみ、溜息をついてからそらに言った。





「先ほどは、取り乱してしまって
 
  申し訳ありませんでした。

  主人もあんな失礼なことをしてしまって・・」



丸テーブルに置いたコーヒーの缶を両手で持ち

彼女は遠くを見た。



「いいえ、気になさらないでください

 私は平気ですので!」


手のひらをオーバーに振ってみせた。



回診の時の夫人はいかにも介護疲れで

ストレスを溜めに溜めた感じだったが

今の彼女は幾分落ち着いていた。



本当に彼女は疲れているように見えた。




普通に化粧をすれば今より10歳は若く見えるのではないだろうか・・・・





・・・・・聞けない。・・・・・






そらが夫人を眺めていたら、目が合ってしまい


彼女はそらの顔を舐めるように見た。


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