ツンデレ的天然ちゃん かける バイト仲間の年上王子っ!



お皿も底が見えて来て、成巳先輩のカクテルもあと少ししかグラスに入っていない。


このまま、時が止まればいいのに。
あたしは思った。


「成巳達って本当に付き合ってんの?」

けれどそんな奏さんの言葉に我に返る。


「いや、コイツは俺のバイト友達。」

そう、だよ。


「やっぱし?
まぁ、あんな綺麗な人を捨てる男なんて居ねぇよな。」

「…ああ」


綺麗な人…

奏さんが拭いていたたグラスにあたしの顔が写る。



綺麗じゃないもんね…

あたしは童顔なんだ。
何だかそう思うと胸が苦しくなるのが分かった。




あたしは綺麗じゃない。

成巳先輩が好きなのは綺麗な人。

成巳先輩の彼女は綺麗な人。




あたしに勝ち目なんてない。


綺麗じゃないから。


顔が子供だから…




「あの!

あたしっ、帰りますねっ!!」

あたしはカウンターに千円札を置き、ダッシュでお店を後にした。



泣いちゃだめだ!
思ってはいるけど、目頭はドンドン熱くなる。

ヤメテよ…


泣かないでよ…





お願い



お願い……




< 25 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop