氷の上のプリンセス

見えない影

靴が無くなってしまうのはだいぶ金銭的に痛いため、袋に入れて教室に持って行くことにした。


「実莉ぃ。最近元気ないけどどうした?
何かあったの?」


朝、教室に入って挨拶もしないできなこが声をかけてきた。

『うーん。
部活が忙しいからね。』


優しいきなこに心配をかけたくない。


「そっかぁ……。
来週定期テストもあるから、勉強して寝てないんじゃない?
顔色も良くないし…。
無理しちゃだめだよ!」


きなこはそう言って、私の頭をヨシヨシって撫でてくれた。


『うん、ありがとうね、きなこ!』


ニコッと笑うと、いつものようにきなこが抱きついてきて……また、教室の中で更に浮いてしまっていた。







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