氷の上のプリンセス

部活が終わった後に、自主練をしていた。


オフシーズンだから、そんなにじっくりやるつもりはなかったけれど、
今日、コーチとプログラムを話し合うときに、納得できないところがあって、滑りながら考えていた。


そろそろ帰ろうかと思った時、入り口の方から、バタンバタンとドアが何回も閉まる音がする。


こんな時間に、
誰か遊んでんのか?


シューズはもう脱ぎ終わっていて、身支度して入り口に向かうと、
その姿を見て顔がほころんでしまった。


完全に、こいつにやられてんな…、俺。


外はものすごい嵐で、風が強かった。


実莉の部屋の前まで着いて一息つくと、タオルを貸してくれると言ってくる。


もう濡れているから、必要ないけれど、その気持ちが嬉しくて断らないでいた。


実莉が指に怪我をしてカッターの刃を見つけ出した時、階段での走り去る女の姿がよぎる。


実莉が倒れこむのを一瞬で止めた。


息も荒く、苦しそうだった。


俺は、実莉のバックから鍵を見つけ、部屋へと入った。


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