氷の上のプリンセス
パトカーのサイレンが鳴りはじめる。
雨音が強くなってきたけ。
それと同時に、不快な車のエンジン音は、パトカーに追われているのか、徐々に大きくなったので、雨にかき消されることはない。
やだな、
近づいてきてるのかな。
ところどころ大型店舗が点在しているので、辺りは真っ暗ではなかった。
それでも、歩道を照らす街灯の光はちょっと頼りない。
野生の感か何か、
嫌な予感がした。
『お姉ちゃん…、早く帰ろう。』
私は、変な胸騒ぎに動揺しながら、お姉ちゃんの腕の裾を軽く引っ張った。
少し、歩く速度が早くなる。
でも、車のエンジン音は止まず、むしろ、パトカーのサイレンと共に、だんだん近づいてくるのがわかる。
ゆるやかなカーブの道にさしかかった時。
気づいた時には
遅かった…。
.