ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編

2話/僕らの狙いは〇〇です

 PCハピネスを前に、アリトはディスクパスワードが分からずに苛立っていた。

 大抵のデータは、簡単に引き出せたものDMに関する最後の項目が開けずに居たのだ。

 パスワードの打ち込み回数三回。

 打ち込み時間は三十秒。

 ギバルの補佐でありDMデータ管理を任されていた、シスターは以前口を割る気配が無い。

 博士や研究者を名乗る人物は、大抵、死ぬまで秘密を持って行く。

 追い詰めれば、それこそこの先へは進めないという事実を、アリトは今までの経験から理解していた。

 しかし、気になるのはギバルの叫んだ一言である。

「女が持っていても意味が無い、ね」

 もしやとは思うも無闇にキーを打ち込めずに、アリトはPCハピネスの子機画面をなぞった。

 その言葉に取り立てて執着する必要も無かったが、パスワード入力欄が浮かぶ先には何らかの情報が眠ることは間違いない。

 ただ、女には必要ない情報であることも確かなのだろう。

 実際、ディスクを欲しがっていたパルマも中身については話したがらなかった。

 元から、ディスクだけを渡すつもりだったアリトも、そうやって隠されると気になって仕方が無い。

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