最後の夏-ここに君がいたこと-
1日の講習終了を告げるベルが鳴ると、陸が「よく寝たー」と言って大きく伸びた。

陸にとってベルは、目覚まし時計らしい。
 
結局、陸は古典から始まり全教科寝倒した。
 
私の方がまだ真剣に講習を受けてるわ、と、自分より下がいる事に安心する。
 
 
「陸、部活行こう!」
 
 
弘人がボ―ルとバッグを持って目を輝かせている。
 
 
「また部活行くの? 引退したくせに」
 
 
「分かってねぇなぁ。程よい運動が勉強の効率もアップさせるんだよ」
 
 
うそくさー。私は何も言わず鼻で笑った。
帰ってからも爆睡のくせに。
 
 
「よし、行こうぜ」
 
 
勢い良く椅子を引いて立ち上がった陸を見て梢子が「あれ」と首を傾げた。
 
 
「陸、背伸びた?」
 
 
「え? 本当に?」
 
 
まじまじと陸を見つめる。

言われてみれば……そんな気がしないでもない。

 
「あぁ、この前計ったら178センチだった」


「げっ。あんたそんなに伸びたの!?」


高校3年生になっても、まだ伸びるか!

いつまで成長期なんですか。


「頼むからそれ以上デカくならんで」


「志津、チビだからな―! 羨ましがっちゃって」


「そんな事ないよ。私だって身長160はあるもん!!!」


鼻歌まじりで教室から出て行く陸に向かって、そう叫んだ。

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