最後の夏-ここに君がいたこと-
悠太がロンドンに発つ前の日。

突然悠太が俺の部屋にやってきた。
 

「ちょっといいかな?」
 
 

部屋に入ってくるなり、いつになく思いつめた表情だった。
 
 

「なんだよ、悠太。出発前からホームシックかー?だっせーな!」
 
 

ベッドに寝そべったまま、笑い飛ばしてみたけれど、悠太は無言のまま苦笑いを浮かべた。
 

部屋に重苦しい空気が流れる。

 
何だ。
まさか、俺が“おめでとう”って言ってないのを怒りに来たのか。

 
確かに“おめでとう”とは言えてない。

 
言わなきゃ、言わなきゃと思いながらも、薄っぺらいプライドが邪魔をする。

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