Pinky2
啓は近寄って腕を掴むなり、捻り上げた。
捻られた人は声を発しながらうずくまり、啓に首の後ろを打たれた。
そしたら気を失い、ガクリと首が垂れた。
啓はそれを見下ろしている。
「……」
「け、警察!!呼ばないと!」
体がこわばって声がてない私に対して、聡くんは慌てて走っていった。
こんなに怒った啓見たの
いつ以来やっけ…?
あ…あん時や
小さい頃、地元の悪ガキに頭ぶたれて泣いて帰った日…
啓、黙って家からいなくなって、お兄ちゃんたちと探しに行って、公園でやっと見つけたと思ったら
啓が自分より一回り体が大きい私を殴った相手に向かって、暴言吐きながら殴る蹴るで散々暴れまわってて
結局、悪ガキを泣かせたからって
啓がその子の家に謝りに行ったんだっけ…。
啓が帰ってくるのを、勝手に啓の部屋に入って待ってて…
帰ってきた啓は、怒られたから元気がなくて
「私、うれしかったよ。ありがとう。」
って笑って言ったとたんに
何も喋らなかった口が歪んで
涙目になったんだっけ。
最後まで強がりだったけど。
あれ…何歳の頃だっけ…?
「美緒…」
名前を呼ばれて、弾かれたように現実に引き戻される。
遠くからパトカーが近づいてくる音がする。
さっきから時間が止まったみたいにフリーズしていた私。
「啓…」
「はっ…涙目やん。ケガ…してへん?」
急に心の奥がじんわりと温かくなる。
「…ぅっ…え…」
やっと感じた安心感。
子供みたいな鳴き声が口から漏れた。