蒼い月の雫

第一章  落ちてきた

いつもはもう少し長い時間カフェにいるのだが今日は早めに帰ることにした.
風が強くなってきたので洗濯物も心配だった.


狼は高校から少し離れたマンションに一人で住んでいる.
両親は去年の夏に死んでしまった.

海外に仕事に行く途中のことだった.
乗っていた飛行機が原因不明のトラブルを起こし墜落.
乗客は少年一人を残し全滅した.


両親は死んでしまったが,2人の口座には驚くほどの額のお金があった.
一生安泰というわけではないが,狼が自立するまで生活するには十分な額だった.




狼はなんとなく家まで歩いて帰ることにした.
いつもはバスを使うが,今日はあまり乗りたくはなかった.


薄暗くなり人気のなくなった道を歩いていた.
街灯の明りがポツポツと灯り始めたときだった.
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