純恋



「い、行っちゃやだ‥。」



また聞こえるか聞こえないくらいの
小さな小さな声で言った。



顔はすでに涙でぐちゃぐちゃになってた。



「さ、紗瑛?」



貴仁は戸惑っていた。


さっきまで別れたいと言われてたから
戸惑うのも当たり前だろうけど‥。



「行かないで‥」


貴仁は何も聞かず震えるあたしを
ぎゅうっと抱きしめていた。



貴仁の腕の中で、
あたしは言うと決意した。



「赤ちゃん‥いる。」



あたしは重い重い口を開いた。



< 42 / 143 >

この作品をシェア

pagetop