純恋




「すいません!!開けてください」



貴仁はある家のドアをドンドン叩く。


チャイムを押したが
誰も出てくる気配がなかったからだ。



「‥うるさいわね。」



そう言ったのは‥紗瑛の母、美乃梨だ。


「何よ?」


ドアを開け、煙草の煙を吐きながら
貴仁に問い掛ける。



「紗瑛のお母さんですか?」


は‥?
紗瑛なんて
紗瑛なんてあたしの娘じゃ―‥



美乃梨が黙っていると
貴仁は声を張り上げ


「紗瑛のお母さんですよね?」


貴仁は確信したようにまた問い掛けた。



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