ほっとちょこれーと *【完】


「……灯璃」



表情が見えない。



怒ってる?

泣いてる?




「少なくともあたしは幸せだったのに。1人で浮かれてたとか悔しいんだけど!!」


「………。」



口調はいつも通り強気で勝ち気な灯璃



「大好きだったのになぁ」



顔をあげる。



向かい合わせ

今までに見たことないくらい悲しい表情



まだ授業中の廊下


静かな時間




「帰ろうか 教室」

「大丈夫なの?」

「うん……大丈夫。緋絽のクラスの人にも特進クラスの人にもなんか迷惑かけちゃった。もう少し大人になんなきゃなぁ あたし」



泣くかと思った。



『最低!!まじ死ね!!』とか言って大泣きすると思った。




灯璃が緋絽のこと大好きって1番に理解してたから強がってるだけだって、わかってるけど何も言えないあたし


今どんな言葉をかけても余計に灯璃を傷つけちゃう。




「あたしに似合う…彼氏かぁ」



緋絽の言葉を繰り返す。




「1番言われたくなかった」


「………。」


「好きな人には言われたくなかったな」


『好きな人には』




2年前の自分の発言に行動に後悔


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