ほっとちょこれーと *【完】


「那岐」


見つけた



「………みいちゃん」



あたしの顔を見て少し微笑む那岐



「大丈夫?」

「まぁね」

「………。」


なんて言ったらいいのかわかんない。



「慰めにきてくれたんだよね。サンクー」

「あぁ……うん」



言わなきゃいけないことは一杯あるはずなのにおかしいな……


だって

那岐が悲しそうに笑うから。



「俺の子」

「………。」

「だったんだろうね」



ポツリと話し始める。



「唯菜が俺を避けたのは誰のためだったんだろうな」

「……那岐」


「自分のため……だったのかもしれないけどさ」



那岐は床に座り込む



「何も言ってくんねーんだもん」

「………。」

「やっぱり俺のことなんか眼中にもなかったんだよ」


「それは違う」

「………え?」

「唯姉はちゃんと那岐のこと好きだった」

「みいちゃん……」



あたしの知ってる唯姉はそんな中途半端な人じゃない。


「那岐のためだよ」


中学生だった那岐が周りに白い目で見られないように

ちゃんと卒業できるように

唯姉は決めたんだと思う。


「………ありがと。みいちゃん」


< 241 / 300 >

この作品をシェア

pagetop