ほっとちょこれーと *【完】

身体中の血の気が引いてる。

なんで?

なんで別れるなんて言うんだろ……


あたしのこと嫌いになっちゃった?

それとも他に好きな子でもできたのかな……



もう どっちでもいいや。



「いいよ」



考えたくない。

それに聞きたくないよ……

翼の口から理由なんて聞きたくないんだもん。




「心結先輩まで何言ってん!!」



勇心君の声

視界がぼやけて、翼の顔もぼやけて

あぁ あたし泣いてる。




「ハッピーバレンタイン」



精一杯 強がって笑顔を作る。


余裕なんかないくせに余裕ぶるのはあたしの悪い癖


「お誕生日おめでと」



床に落ちたチョコレートを広いあげる。



翼があたしを嫌いになるわけない

なんて思うあたしは自意識過剰だよね。


だけど他に理由があるに決まってるし

あるって信じたい。


だけど………無理。


理由はなんであれ別れるのを選んだんだよ?


翼のつらそうな顔が見える。


弱虫 意気地

翼なんか………



「大嫌い」



チョコレートを投げつける。


こんなもの くれてやる!!


あたしが身を引いてあげる。

好きにすればいい。
< 251 / 300 >

この作品をシェア

pagetop