ほっとちょこれーと *【完】


「うんっ♪」


可哀想に……



「そろそろお時間です」

「はーい」


ドレスの裾を踏まないように立ち上がる。



「心結先輩」



目の前には翼の姿



「超キレイ……」



顔を赤くする翼



「何照れてんだ!!」

「……痛ぇ」



灯璃が強烈な突っ込みを入れる。




「てか結婚するのに゙心結先輩"ってどーよ」

「………。」



それ

灯璃が言うセリフ?




「じゃああたし 先行くからね」

「……逃げ出したらダメだよ」



念押し


「ここで恩返ししなくていつするのよ」



灯璃はそう言って笑った。



「結婚おめでと」



最後にそれだけ言い残して部屋から出て行った。



「………。」


残ったのはあたしと翼



「行きましょう」

「なんで敬語?」

「……なんとなく」



まともに目を合わせてくれない翼



「本当に照れてる?」

「……悪い?」

「翼 可愛い」


キスしてやりたいくらいっ



「行こう」


クスクス笑うあたしに向き直って真面目な顔をする翼


「心結」

「………はい」



翼は大学を出て地元の高校の教師になった。


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