白い鼓動灰色の微熱

ヒトトキ

彩世は咲の残した美の結晶に見入っていた。
 
真っ直ぐに伸びた、細く可憐な指。
 
だけれど、しなやかに動く清香の指を見た後では、少し色あせて見えた。
 
清香の手も、ここに呼ばなくては。
 
けれど、まだ、だ。
 
まだ、自分の技術に満足していない。
 
咲は一度目の名前も知らない彼女と違い、スマートに死の世界へ導いてあげることが出来た。
 
でも、その手首の切り取り方が雑だった。
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