白い鼓動灰色の微熱

大塚 清水

「殺人、だな」
 
誰が見てもわかることを、大塚刑事は言った。

 水をたっぷりと吸い込んでパンパンに腫れ上がった体には、左手首がなかった。

「愉快犯か?」
 
清水はそっと吐息を漏らした。
 
清水は、アメリカに見習って最近注目され始めた、プロファイラーのはしくれのようなものだった。
 
まだ、公にその存在を示されていないが、実験的に取り入れられつつある分野なのである。

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