Anniversary.

いつもお前を捕えている。

「ちょっと、出掛けてくる~」


「先生に見つからないようにするんだよー」


「はーいっ」


消灯時間、ギリギリ。

あたしは部屋を抜け出して、ある部屋の前までやってきた。




――― コンコンッ。


「はいはい……」


ガチャリと開いたドア。 開けてくれた本人は、あたしが急に来たせいか、目を大きく開いている。


要するに…… だ。


「なに、間抜け顔しているの? …… いっくん」


「あぁ、悪い」


本当だよ。 あたしだって、他の人の部屋に遊びにいくんだから。


「まお、お前どこにいるのか分かっているのか?」


「うん、いっくんの部屋。 ちょっと、話したいことがあったから」


本当はさっき…… ケーキを食べたときに話したかったんだけど。

あの時は、みんながいたから話せなかったんだよね。


どうしても、話したかったから……。



「来ちゃった」





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