ティアラ2
「男ってさ……女の子よりも不器用で、恋愛が下手なんだよ」

生ぬるい風が部屋に入ってくる。

「俺は男だから、って変な意地があって……はっきり言葉にすれば済む話でも、なんか言えなかったりするし」

煙草の先に火を当てる彼は、しゃべってから白い煙を吐く。

「女心は難しいってよく言うけど、俺は男心も負けてないと思うんだよね」

他人事のように言ってるけれど、もしかしたら自分のことを話してるのかもしれない。背中を向ける彼を見つめながら、そんなことを思った。

オトコゴコロ……かぁ。

篤紀は「潮時」と言った。喧嘩ばかりで、信じてくれないから疲れたって。

「でも、喧嘩の原因は向こうだし。信じてないのは、あたしだけじゃない」
直接言えなかった言葉が、口から溢れてくる。

いま言ったってしょうがないのに。……透吾に言っても、篤紀には伝わらないのに。
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