ティアラ2
「ていうか、窓を開けたほうがよくない?」
「あ、バカッ開けんなよ! せっかく涼しくなってきたのに!」
「バカって何よ、バカって」

運転席にいる太一と久しぶりの言い争い。半年ぶりに顔を合わせたんだけど、全然変わってないから安心した。

「なぁ、この道……さっきも通らなかった?」

静かに景色を眺めていた篤紀がポツリとつぶやく。その言葉で太一は焦った表情をし、助手席に座っている直子の肩がビクッと動いた。

「そういえば、直子……なんでさっきから黙ってんの?」

様子が変だと思ったあたしは、身を乗り出して直子の膝を見る。うつむいていた彼女は顔をあげ、引きつった笑みを浮かべた。
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