スキの魔法
動けずに1人突っ立ていると…突然、数人の若い男の人たちに囲まれた。
危険を感じて、あたしは思わず一歩下がる。
「ねぇ。キミ、かわいいね。どこの家の娘さん?」
……恐い。目が…恐いよ。
「よかったら、俺達と、これからどこかに行かない?」
ダメだ…っ声が出ない。
「いいだろ?いい店知ってるから~」
1人の男の人があたしの肩に手を回す。気持ち悪くてビクッと揺れた。
……ッイヤだ。触らないで。誰か…助けて。
恐い……―――侑志っ…
「皆さん、今日はありがとうございます。楽しんでいらっしゃいますか?」
―――…侑……志。
あたしの肩に手を置いていた男の人が手を離す。
その瞬間、肩の力がフッと抜けた。
「おめでとう。では。」
そう言って、男の人たちはそそくさとどこかへ行った。
「何で泣いてんだよ。バカ。」
怒った口調で、あたしを睨んでくる侑志。
あたしはまだ、声が出せないでいた。からだの震えも止まらない。
そんなあたしに気付いたのか、
「来い」
侑志に手をぐいっと掴まれて、あたし達は会場を出た。
そんなあたし達の姿を、憎い目で見ていた人達がいるとは知らずに…―――。