君には、絶対に…

【すべての始まり(後編)】

前半終了時、22対18で、うちのチームは負けていた。

そして、後半開始3分が経過した今、26対18で、負けているだけじゃなく、点差が開き始めていた…。

原因は、すべて俺にある…。

ゾーンディフェンスに変えたことで、後半開始直後は、何とかなっていた。

問題は、オフェンスだ。

未来先輩には、3Pを放つようにと言っていたけど、今まで練習したことがないシュートだし、もし、シュートしたことによって、流れが悪くなるんじゃないかって思うと、どうしても放てない…。

『スパンッ!』

俺が中に切り込んだりして、ディフェンスを引き付けられないことによって、うちのチームには、良い流れが生まれない…。

どんなに睦と将人が頑張っても、良い流れなんて作りようがない…。

オフェンスで生じた悪い流れに付け込まれ、また2点差つけられた…。

『ダム…ダム…ダム…。』

睦と将人の表情にも、徐々に焦りの色が見え始める。

残り時間は、まだ5分強残っているにしても、もう10点差つけられている状況だから、それも当たり前だ…。

この状況を変えるには…もうあれしかない…。

後半に入ってから、1度もパスを要求せずにいた俺が、3Pラインの外に向かって走りながら、初めて睦にパスを要求した。

『パスンッ!』

俺が3Pラインの外に出たのと同時に、睦からのパスが来た。

このまま何もしないで負けたくない…!!

パスを受け取った瞬間、俺はそう思い、すぐに振り返りながら、3Pを放つ体勢に入った。
< 53 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop