オルゴール 〜科学者と未確認生物〜
僕は時計をみた。あのうるさい目覚まし時計を。今、午後3時。

そうだ、目覚まし時計も連れて行こう。こいつとは毎朝喧嘩した仲だしな。
エイリアンもこいつの音を聞いたらビビるはずだ。そして、びっくりしたエイリアンは目覚まし時計を投げる。
こうなったらこっちのものだ。目覚まし時計はエイリアンを睨みつけ、物凄い音を出す。

あぁ、この家ともお別れになるかも知れないんだな…。そうなるとスペースシャトルを乗り逃げしたってことになるけど。逃げるところっていったら天国くらいだ。
まあいいや。
実験中に死ねるんなら本望と思ってる。
最後まで科学者のままでいられるんだから。
例外の科学者。理性のない科学者のままでいられるんだ。


後少し。出発の時間まで。
あと一時間。

感情はもう抑えようとは思わない。こんなことならエイリアンを信じなくなる薬を開発しとけば良かった。せめて感情が収まる薬を。
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