本当に愛おしい君の唇
 治登も直美も新宿の夜景を見ながら、


「こんな景色もいいね」


「ええ」


 と言い合った。


 要は二人でジョークも交えながら過ごす時間が一番いいのだ。


 それは互いに分かっていることなのだった。


 シンパシーというものがある。


 お互いの心のうちが分かるという。


 そして部屋の前に辿り着くと、治登がシリンダーにカードキーを差し込んだ。


 ピィピィという音がして、ドアが開錠される。


 バーンという音がして、背後でオートロックが掛かった後、治登はすぐに直美を抱きしめた。 


 何度も繰り返し繰り返し口付け合う。



< 100 / 171 >

この作品をシェア

pagetop