本当に愛おしい君の唇
第27章
     27
 一〇〇五号室から見られる夜景は綺麗だった。


 東京の街が一望できる。


 治登と直美はセックスに飽きると、抱き合う手を止め、ベランダに出て街の光景を見出した。


 互いにシャツの上にバスローブを羽織り、ゆっくりと呼吸を整え、二人で並んで街を見る。


“幸せの絶頂ってこういうことを差して言うんだな”


 治登はそう思い、飲みかけのビールの缶を手に取ったまま、ネオンサインが目に飛び込んでくるのを感じ取った。


 直美もビールを飲んで酔っ払ったらしく、治登と一緒に寛いでいる。


 ここは眠らない街である。


 そしてあらゆる欲望を秘めた街でもあった。


 治登がふっと話をし始める。


「俺がルーデルを起こしたのは二十年以上前で、大学在学中だった。あの頃は徹夜で仕事
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