本当に愛おしい君の唇
第10章
     10
 その日の午前七時過ぎに治登が目を覚まし、ベッドから起き上がった。


 直美はまだ眠っている。


 風呂場が隣接している洗面所へと向かった。


 洗顔して、髭を剃り、スタイリングムースで整髪まで済ませる。


 二十分後に治登がリビングへ舞い戻ってくると、直美が起きていて、


「コーヒー飲むでしょ?」


 と訊いてきた。


「ああ。冷たいの淹れてくれよ」


「うん。あたしもアイスで淹れるから」


 彼女がそう言い、キッチンへと向かう。


 ドリップ式のコーヒーしかなかったが、氷を浮かべてもらえば、アイスコーヒーの出来上がりだ。


 治登がワイシャツに腕を通して、ネクタイを締めていると、
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