本当に愛おしい君の唇
「結局、人事のことはやってくれたわけね?」


「ああ。あいつらはここ東京本社には要らない人間たちだからね。地方に行ってもらうことにしたよ」


「正式発表は二日後だろ?」


「うん。でも、一応あいつらはもう二度と本社に戻ってこられないよう、厳正(げんせい)に処分したから」


「俺もやっと気が晴れたよ。ここ数日間、人事のことで正直頭が痛かったんだ」


「治登、安心しろよ。俺たちは共同で大多社長を助けないといけないんだからな。しっかりやろうね」


「ああ。じゃあ、午後からは通常通り業務があるから、今から書類読むよ」


「頼んだぞ。じゃあな」


 樺島がそう言って、慌しく出ていく。


 治登は古賀原たちの処分が決まり、一安心していた。


 仕事もろくにせずに、変な新興宗教に嵌まったりしている人間に本社の課長職は任せられないと、樺島も判断したらしい。
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