本当に愛おしい君の唇
第18章
     18
 店を出て、夜の新宿の歩道を歩き始める。


 辺りは人の洪水だ。


 治登も直美も手を繋いで、歩き続けた。


 今夜一晩を共にするホテルに向けて、だ。


 互いに疲れは覚えていた。


 体の芯にまで浸透している疲労感だ。


 だが、いずれホテルの一室に入ってベッドインすれば、また気分も変わるだろう。


 そして治登たち二人は、新宿でもある程度宿泊費の掛かるホテルへと入っていった。


 確かに治登は普段から稼ぎがよくて、会社も順調に回っていることだし、文句の付けようがない。


 直美も会社員としてわずかではあるものの稼ぎ続けているので、それ相応に金は使う。


 大体、二人とも貯金が苦手なのだった。


 治登も、そして直美も典型的な散財型(さんざいがた)である。
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