悪魔の刃
失った記憶 星司side
ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・

薬品の匂い・・・俺は目を閉じた

ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・

薬品の匂い・・・俺は目を閉じた


「キキキキキーーーッキュキュウ!!」

嫌なタイヤ音が俺たちに近づく
俺は一人で逃げてしまい、美咲を置いてきてしまった
助けに戻ろうとしたが遅し・・・

「美咲!!」

目の前で・・・美咲が空を舞う
そして急落下。美咲の身体がコンクリートに打ち付けられ、バウンドした
俺は・・・美咲を守ってやれなかった


「美咲、美咲!!」

俺の隣で美咲の手を握って泣く美咲のお母さん
その隣にお父さん・・・
俺のせいで・・・

「おばさん・・・すいません・・・俺が・・・美咲を守ってやれなくて・・・」
「星司くんは悪くないわ!トラックを運転していた男が悪いのよ・・・」


その時だった

ベッドの上から小さくうめく声がした

「ん・・・」
「!美咲、美咲?!」
「ん・・・おかあ・・・さん?」
「そうよ、お母さんよ!」
「お・・・父さん・・・も・・・」

ひどい傷なのに・・・
きっと俺を恨むだろうな・・・
そんな事を思いながら俺は美咲に声をかけた

「美咲・・・」


――――――返ってきた言葉・・・




「あなたは・・・誰?」
「っ!!」


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