復習
「それは、お前さんが普通過ぎるからだよ。しかも、普通な割には整合性の無い話をするんだ!」
「成る程」
「これ以外に、方法が無かった」
 遠くから、警察官の包囲網が徐々に狭まって来る。高濱は放心した様な表情に成り、懐からナパームの手榴弾を取り出す。
「殺された遺族の気持なんて、他人事だと思っていたよ」
「先輩、早くしないと!」
 瀬戸が回りを威嚇し乍、背後の高濱に声を掛ける。
「後悔は無いのか?」
「法がヌルイ判決を下す前に、自分の手で無念を晴らせるなら。後悔なんか無いです」
「これで良いんだ……」
 高濱は、導火線に火を点けて静かにその場に座り込む。
「お前の理由なんか、もう如何でも良い。只、俺は、俺の心が求める通りの行動をするだけだ」
 遠くから、騒音の様な声が飛び交う。前触れも無く奪われた平和。法律が裁けないので有れば、自分で裁くしか無い。至極簡単な答えなだけに、誰しもがその答えを見ようとしない。時に、間違えた報道で傷つけられる遺族と、時代性と云う曖昧な怪物に翻弄される真実。高濱は、そんな曖昧な価値観に惑わされる事無く、自分の信じた思いを旨に、華々しく空に散っていった。
                
                                                                             了
                                      
 


                                         



 
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