2人ずっとこのままで
「ないんでしょ?」


と、ライターを差し出してきた。


「…サンキュー」

目を合わすとドキドキするから、ライターをもらったら、すぐに目を逸らした。

この時から俺は何も変わっていない。

何も聞けない。



『名前は?』

『何してんの?』



聞きたいことはたくさん。



そしてお前も、変わっていない。いつもお前から、口を開いてくれる。



「君、タバコ何吸ってんの?」

「あー、COOL」

「マジ?ウチも。一緒じゃん」



ホラっと、笑顔でCOOLを見せる女。ちょっとした共通点。それだけでも嬉しかった。


そのあと、時間なんか気にしないで2人でいろいろ話した。


名前は南亜弥っていうらしい。南は『名前で呼んでよ』、とか言ってきたけど恥ずかしくて無理だった。

そんな俺の気持ちを知らないで、南は『トシ』って呼んできた。



それから俺とケンタ、南の連れとかと、一緒に行動する事が多くなった。

皆何かを抱えている。



だから学校なんかに縛られたくない。


すごく気が合って、毎日毎日遊んで、楽しかった。



南が好きっていう気持ちも、日に日に高まっていった。



そのまま…1年が過ぎて、俺らは中学2年になった。

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