飛べない鳥
~第八章・クローバー~
俺は本当は泣きたいのに、泣けなかった。


唯を好きなのに…言えなかった─…



な、みんなは俺を何してんだよ、って言いたくなるだろ?


そんなこと、この俺が一番思ってるよ…



──────………



────……



『響、俺ちょっと8組言ってくるわ』



ある日の休み時間、
俺は8組の杏に会いに行くため、響にその事を伝えた。



『俺も行く!杏ちゃん見たいし!』



『じゃあ行くぞ』


俺と響は教室から飛び出し、8組を目指した。



唯は、時々学校にくるが、すぐに帰ってしまう。


最近の唯は元気がない。
笑わなくなってしまった。

何かあったのかな?


こんな心配しても無駄だ。


俺は太陽の光りで暑くなった廊下を歩いていく。



8組まではかなりの時間がかかる。


7組と8組は、大きな通路を挟んだ向こう側にある。

それまでの距離が長かった。
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