飛べない鳥
~第二章・憂鬱~
俺は響と別れると、
一目散に部屋へと駆けあがる。


鍵を思いきり鍵穴にさし、右に回し、部屋のドアを開ける。


そして少し汚れたローファーを脱ぎ、ベットへと転がった。



『はぁ…』


薄暗い部屋にうっすら見える、あの青空の写真。


これを見ると落ち着く。


俺は目を閉じ、高鳴る心臓が静まるのを待った。


────………



『──…遥斗……』


あの写真はあの空に似ていた。


小さい頃、よく両親に連れてきてもらった、あの公園でみたあの青空にそっくりだった。


『なぁに?ママ??』


母親は俺を膝に乗せ、
空を眺めた。


『遥斗?見て?綺麗なお空でしょ?』



『うん、とっても綺麗!』

『遥斗、あのね?泣きたい時は空を見上げて泣きなさいね?そしたら、この綺麗なお空が、遥斗にご褒美くれるわよ?きっとね』


『ご…ほうび?
僕そんなものいらない!
だって僕強いから!!』


『そうね、遥斗──…』
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